相手が自分を好きで好きでしかたない場合でなかったら(もちろんそれは、やりたくてやりたくて仕方ないとは微妙に違うので、女だったらそこを見極めなくてはならない)、どんなに気に入ってる人でも寝てはいけないと思う。自分の体が気の毒だ。

「イルカ」よしもとばなな

だから私はその泥水をきれいに保つため、なるべく静かにしていようと決めた。水の中で魚が動き回れば濁った泥水になってしまうけど、心を穏やかにしていれば、やがて泥は下に沈み、上の方はきれいな水になる。私は、きれいな水でいたかった。

「食堂かたつむり」小川糸

本当についた嘘よりももっと悪いことは、自分の考えで人を動かそうとすることだ。たとえよかれと思っていたって、そしてどんなに軽くても重くても、罪は同じだ。他の人の考えがいつの間にか自分のつごうがいいように変わるように、圧力をかけるなんて恐ろしいことだ。

ハチ公の最後の恋人吉本ばなな