親友から来た、「僕の学校の卒業生が出るから」というメールを読んで、迷わず録画ボタンを押した。
彼が人生をかけて入り込もうとしている世界のことを改めて考えた。知識も、現場に行ったこともない私は、テレビで放映されてる以外の部分を想像するしかできない。職人になりたいと打ち明けられたのはもう随分前だけど、初めて現実を突きつけられた気がする。部活を引退したときよりも、卒業したときよりも、今が一番寂しい。
正座して、45分間ずっと画面から目が離せなかった。絶対に幸せになってほしい。ほんとに心の底からそう思う。
色々なことが頭をかすめた。私が憧れてやまないこと、なのにどうしても手を伸ばせなかったこと。必死で手を伸ばし続けてる親友、探してたものを見つけてしまったその姿。
いいか、焦るなよ、と自分に言い聞かせる。
死ぬまで中二病チックでもいいから、死ぬまで考え続けたい。鈍ってしまいたくない、感覚を研ぎ澄ませていたい。