同期男子がすごく楽しそうだったから、いい場所なんだろうなぁ。そういう場所や進む方向を彼が地道に探してた4年間、ずっと近くにいられたことは、密かに私の誇り。
しばらく1人で見て回って、同期男子が役割を終えて来てくれてからは2人で喋りながら作品を見た。
昔は不器用でギザギザだったものが、しかるべき教育を受けて健やかに伸びてる感じがした。シンプルで、でも寂しくなくて、すごくいいデザインだった。
彼の作った椅子が欲しかったのに抽選で他の人に買われてしまって、私が心底残念がってたら、「あれは背もたれが高いから、コマ用に作るやつはもっと低くするわ」と真剣な顔で言うから、『ああ、この子はずっと昔にした約束をちゃんと覚えてくれてるんだ』って気付いてしんみりした。
私サイズの机と椅子を、頑丈で素朴な木で、釘を使わずに作ってくれる日が、いつか本当に来るんだと思う。馬鹿みたいだけど、それまで死ねないな、と思った。
4月になったら彼はたぶん東京に行ってしまう。けどまぁ、奈良が東京に変わるだけで、きっと私はまた会いに行く。