雨を降らす。


未来について二人で話し合うことを、私たちは3年間、全然してこなかった。付き合い始めた3年前から、私はそれがずっと寂しくて、不安で、不満で、どんなに楽しいときでも心のすみっこに、ほんの少しの陰りがあった。
今年の初めごろに少し機会はあったんだけど、自分の感情を不器用にぶつけただけでちゃんと話し合えたわけではなく、結局モヤモヤしたままだった。そのモヤモヤがつのって、どうにもこうにも「もう無理だ、はっきりさせずにいられない」って思ったのが半月ほど前の話。
相変わらず物事を考えるのに人一倍の時間がかかってるけど、そうやって行き着くところまで行ったときの私は意外と行動派だし強いということは分かってたから、そうなるのを自分で待ってたともいえる。逆に言えば、そこまでいかないときっと言えなかった。

恋人は、どういう話かなんとなく感づいていたようで、言葉を選びながらゆっくり喋った。この人のこういうところが結構好きだなぁと思いながら、私はカーステレオの音量を下げて、駅前のロータリーを行き来する人たちを見てた。

「俺は優良物件じゃないと思う」と言われたときは腹が立って、「あのさぁそういうのはもうええねん」って言い返した。優良物件かどうかなんて(もしそういう判断基準が必要になるときがくるなら)私が決めるし、そうやって自分を卑下することで結局は自分が傷付かないように守ってるだけの格好悪さを、もう許したくなかった。そういうのを全部突き破って、奥のほうまで潜ってみたかった。そうさせてくれる相手かどうか見極めたかった。

結果、蒸し暑い車内で2時間近く話し合い、私は妙にスッキリして「まぁいいか」と思い、恋人は考えすぎたせいかお腹を壊した。それでも、とりあえず大まかな方向性は見えてきた気がする。話し合うことで現実的な問題が解決したわけではないし、むしろ話し合うことで見えてきた具体的な問題も大きいけど、好きな人と真剣に話し合えるのは気持ちいいことなんだなと思った。
しばらくこのまま進んでみるか。
曖昧な日記で申し訳ない。